正直、最初は「市営住宅か……」って思ってた。
なんか、選択肢として考えたことがなかったんよね。フルタイムで働いてるし、家賃の補助もそんなに変わらんかな、とか、漠然と「自分には関係ない話」みたいに思ってた部分があった。あと、治安のイメージもちょっとあった。偏見やとはわかってても、頭の片隅にそういうイメージがあったのは正直なところ。
それを変えたのは、弟の一言やった。
「実家に帰らないなら、市営住宅を視野に入れないと破綻するで」
わりとはっきり言う弟なんやけど、そのときはちょっとグサッとした。でも、言われてみると否定できなかった。だから調べ始めた。
調べてみたら、思ってたのと違った
最初の「フルタイムやからそんなに変わらんやろ」という思い込みが、まず崩れた。
大阪市の場合、市営住宅の家賃は収入に応じて決まる仕組みになっている(※詳細は大阪市の公式サイトを参照)。単純に「安い家賃」というより、「自分の収入に対して一定の割合」という計算式に近い。そして、ひとり親であること・子どもに障害があること——この2つが収入算定に影響してくるらしいことがわかってきた。
「あ、思ったより家賃が抑えられるかもしれへんな」
というのが、調べていって最初に感じたことやった。それまで「フルタイムやから民間と変わらんやろ」と思っていたのが、実は全然違う話やったということに気づいた感じ。
もうひとつ、調べてよかったと思ったのが「保証人不要」という点やった。
民間の賃貸を借りるとき、保証人を立てるか、保証会社を使うかが必要になるケースが多い。私の場合、親は高齢で、兄弟にそういうお願いをするのも気が引けた。市営住宅は保証人なしで申し込める——これ、地味やけどかなり大きかった。
「誰かに迷惑をかけずに動けるかもしれない」
と思えたことが、本格的に検討するきっかけになったと思う。
倍率の現実
じゃあすぐ申し込もう、とはならなかった。
倍率を見て、ちょっと現実に引き戻された。
人気物件になると、倍率が10〜70倍とかになる。70倍って何、という感じやけど、これが現実やった。100人が応募したとして、当たるのは1〜2人ということ。「当選確率が宝くじみたいな物件もある」という感じで見ておかないといけない。
ただ、全部がそういうわけでもなかった。倍率が1〜2倍台の物件もあるし、場所・階・間取り・築年数によって倍率はかなり変わる。だから「市営住宅は当たらない」と諦めるのも違うけど、「すぐ当たる」と楽観的に構えるのも違う、というのが正直な感想やと思う。
過去の募集物件と倍率のデータは、大阪市のサイトで確認できる(※詳細は大阪市の公式サイトを参照)。ただ、このデータは時間が経つと消えていくらしくて、「検討してるうちに参考データがなくなってた」ということが起きやすい。今まさに検討中なら、見つけたときにメモしておいた方がいいと思う。
実際に過去のデータを眺めてみて、「ここのこの棟は毎回倍率低い」「この物件は毎回すごい」みたいな傾向がなんとなく見えてきた。全部がランダムというよりも、エリア・棟・間取りによってある程度の傾向がある。どれだけ候補を増やせるかが、結局は当選の可能性に直結する話やなと思っている。
「競争率が高いから諦める」じゃなくて、「倍率が現実的な範囲の物件を地道に狙い続ける」——それが自分にできることの全部かな、という感じ。
大阪市の仕組みで知ったこと
市営住宅の募集には、大阪市の場合「随時募集」と「定時募集」という2種類があることがわかった(※詳細は大阪市の公式サイトを参照)。自治体によって仕組みが異なるので、住んでいる自治体のサイトを確認するのが確実やと思う。
随時募集は、窓口に行って受付をすることで抽選に参加できる。時期を選ばず動けるのがポイントで、タイミングが合えば応募できる。
一方の定時募集には「福祉枠」がある。ひとり親世帯や障害のある家族がいる世帯などが対象で、大阪市の場合5月に応募できる(※詳細は大阪市の公式サイトを参照)。年に1回の機会、という感じ。
ここで最初に勘違いしてたのが、「福祉枠=加点・当たりやすい」ということやった。でも実際は、そういうわけでもないらしい。あくまで「福祉枠として応募できる」というだけで、当選確率が上がるわけではない、と理解している(自治体によって異なるので、要確認)。
おもしろいと思ったのが、この2つを組み合わせられるという点やった。随時募集で抽選にチャレンジしつつ、5月の定時募集(福祉枠)にも出せる。そして、当選してからキャンセルしてもペナルティがない(※詳細は大阪市の公式サイトを参照)。だから「随時で当選確保しながら、定時の方も出せる」という動き方ができる。
「キャンセルしてもペナルティなし」というのは、民間賃貸と感覚が違うところかなと思った。「とりあえず当選だけでもしておいて、選んでから判断できる」という動き方が、ある程度できる仕組みになっている。
エリア選びが、正直いちばん悩んでいる
市営住宅の場所をどこにするか——これが今のいちばんの悩みやと思う。
上の子は来年から小学校で、今まさに就学相談の真っ最中にいる。どの学校・どのクラスでどんな支援が受けられるか、そのためにどのエリアに住むかが、かなり大事になってくる。
今の支援の先生との関係・療育の場所・これまでの生活圏——全部をゼロにしてまで引っ越すのかどうか。どこまでのエリアなら今の生活とつながりを持ちながら引っ越せるのか。
安さだけ見て選べる話でもないから、物件ごとのロケーションはかなり気にしながら見ている。
市営住宅の「お得さ」と、子どもの環境としての「しっくり感」を同時に考えると、正直なかなか候補が絞れない。「家賃は安くなるけどここじゃ療育に通えない」とか、「エリアはいいけど間取りが合わない」とか、条件が絡み合うと迷いが出てくる。
「正解がどこかにある」という話じゃなくて、「何を優先するか」を自分で決めるしかない。今の私の優先順位は、子どもの就学に関わる支援が継続できることが最上位。次が生活コストの現実的なライン。それに合う物件を、焦らずに見ていくしかない。
まだ実際に物件を見ていない段階やけど、5月の募集物件が何が出てくるかを把握するところから動いている、というのが今の状況やった。
民間賃貸と違うところ——修繕費と管理費
「市営住宅=公的なもの=安心」と思っていたところに、ちょっと違うなと感じる部分も出てきた。
ひとつは修繕費。
民間賃貸なら、基本的に部屋の設備が壊れたら大家さんや管理会社が対応してくれる(もちろん例外はあるけど)。でも市営住宅の場合、修繕費は基本的に自己負担になるらしい。どの範囲が自分持ちなのかは事前に確認が必要やと思うけど、「修繕は全部やってもらえる」という感覚で入ると、後から「えっ」となる可能性がある。
もうひとつが管理費の支払い方法。
管理費を現金で担当の人に手渡しするらしい。
……これが今から地味に憂鬱やと思っている。別に大した話じゃないかもしれないけど、振込やクレジットカードで管理できていたものが「毎月現金で手渡し」になるのは、生活リズム的にけっこう変わる気がする。慣れたらなんでもないんやろうけど、最初の「え、現金で?」という感覚はあった。
今の状況
当選はした。でも、入居はまだ。
5月の募集物件が出てくるのを待ちながら、「どのエリアのどんな物件が出てくるか」を把握している段階。実際に物件の中を見るのはまだ先の話。
正直、「当選した」という言葉の響きに対して、実感がそこまでない。手続きが続いていて、まだ「住み始めた」という状態じゃないから。
この先どうなるかは、また書いていくと思う。
市営住宅を検討してみて思ったこと
最初に「市営住宅か……」と思っていた自分が、今は「調べておいてよかった」と思っている。
保証人が不要なこと、収入に応じた家賃の仕組み、福祉枠の存在——知らなければ「自分には関係ない選択肢」のままやったと思う。弟に言われなければ、たぶん調べていなかった。
制度は、知らなければ使えない。これは市営住宅に限らず、シングルマザーとして生活している中でひしひしと感じていることやと思う。
完璧な答えがある話でもないし、「市営住宅が必ずいい」というわけでもない。でも「選択肢のひとつとして知っておく」だけで、動ける幅がちょっと変わってくるかな、と思っている。
※大阪市の市営住宅に関する仕組み・倍率データ・募集時期等の詳細は、大阪市の公式サイトでご確認ください。自治体によって制度の内容が異なります。